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Project
奥州市公式マスコット「おうしゅうたろう」デビュー動画
Client
奥州市役所 / 自治体
Live View
Release
2024年5月
Highlights
- 「市役所=堅い」の打破 自治体特有のイメージを裏切る、市の変革を体現した「宣戦布告」のデビュー動画。
- 「静止画のみ」という制約の昇華 指定されたイラスト素材を、STOMPの力強いサウンドに同期させる音ハメ手法によって圧倒的な躍動感へ変換。
- SNSの「10秒の壁」を突破 離脱率を読み切り、冒頭10秒に熱量を凝縮して30秒間引き込み続ける構成を設計。
- 戦略的な映像設計 単なる制作ではなく、公開プラットフォームと導入背景に最適化された「動く名刺」を具現化。
STORY
奥州市の公式マスコット「おうしゅうたろう」――2024年5月、記者会見での発表と同時に、市の公式SNSに一本の動画が投稿されました。わずか30秒の映像は、新しいキャラクターの誕生を強烈に印象づける”動く名刺”となりました。
制約こそが創造の起点
市から提示されたのは「認知獲得のためのインパクト」という明確なミッション。そして厳しい制約――使用できるのは、あらかじめ指定されたポーズの静止画イラストのみ。この固定素材に、どうやって”動き”と”熱量”を与えるか――そこからすべてが始まりました。
SNSという戦場で勝つために
何を作るかも重要だが、どこで公開するかも同じくらい重要です。Instagram、X、Facebook――SNSの動画は、開始10秒未満での離脱率が極めて高い。つまり、最初の10秒のインパクトがすべてを決めます。
今回は「これから何が始まるの?」というワクワク感、ドキドキ感を冒頭10秒に込めました。視聴者の期待を煽り、30秒間引き込み続ける構成を設計しました。
“市役所らしさ”を裏切る勇気
市役所公式の動画と聞けば、従来的な考えで「ビジネス寄り」「きっちりした堅い感じ」が真っ先に思いつきます。しかし、市がこのキャラクターに託した真のミッションは「市役所の堅いイメージを打破すること」でした。私はその意図を深く汲み取り、このデビュー動画こそが、その変革を市民に知らしめる「宣戦布告」であるべきだと定義しました。
キャラクターが一般公開される最初の瞬間――ここで市の新しい姿勢を打ち出さなければ、導入の意味が薄れてしまう。
だからこそ、STOMPの躍動感、音ハメ編集のポップさ、30秒間の高密度な展開――従来の”お堅い市役所動画”とは一線を画す表現を選択しました。キャラクター導入の本質的な目的を、映像そのもので証明したのです。
音から始まる映像設計
複数のイラストを眺めながら、私が最初に取り組んだのはBGM選定でした。私の動画編集は、多くの場合、音から入ります。
音楽を聴きながら、頭の中で映像が動き出す。リズムに合わせて場面が切り替わり、ビートに乗ってキャラクターが躍動する――いわゆる「音ハメ動画」のアプローチです。
今回、キャラクターの世界観とマッチすると感じたのはSTOMPのような音楽。足踏みや手拍子が奏でるリズム、身体全体で生み出されるビート――アップテンポで場面展開が速く、躍動感にあふれたサウンド。複数の候補を聴き比べ、テンポ、リズム、展開のタイミング――すべてがイメージに合致する一曲を選び抜きました。
静止画に命を吹き込む編集術
選んだBGMを軸に、ビートの一つひとつに映像を同期させていく作業が始まります。
イラストの配置タイミング、シェイプの動き、効果音の挿入――すべてをリズムに合わせて緻密に設計。After EffectsとIllustratorを駆使し、静止画でありながら「動いている」かのような錯覚を生み出しました。
プラットフォームを読み、目的に最適化する
単なるスライドショーではなく、音楽と映像が一体化した体験。視聴者の目と耳を同時に刺激し、30秒間、画面から目を離させない構成を実現しました。
完成した動画は、記者会見と同時に市の公式Instagram、X、Facebookに投稿されました。躍動感あふれる映像は、新キャラクター発表の瞬間にふさわしいインパクトを生み出し、おうしゅうたろうの”動く名刺“として機能しました。
編集不可の静止画という制約は、音楽との融合という創造的な解決策を生み、結果として強烈な印象を残す映像表現へと昇華されました。このデビュー動画が起点となり、おうしゅうたろうは市民の記憶に刻まれるキャラクターへの第一歩を踏み出したのです。
私の動画制作は、単に映像を作ることではありません。どこで公開されるのか、何のために使われるのか、誰に届けるのか――その背景を読み取り、プラットフォームの特性と目的に最適化していくことが核心です。
SNSなら冒頭10秒の離脱率、YouTubeなら視聴維持率、企業PRなら伝えるべきメッセージの優先順位。同じ素材でも、公開場所が変われば最適な構成は変わります。
制約は創造の起点であり、背景理解は品質の土台です。技術と想像力、そして戦略的思考――その全てを注ぎ込み、目的を確実に達成する映像を作り続けています。
GALLERY
PHASE
- 企画・構成
- クライアントの要望と背景を読み取り、映像全体のコンセプトと構成を設計。プラットフォームの特性を踏まえた演出プランを論理的に組み立て、プロジェクトの指針を定義しました。
- 音楽選定
- 映像の世界観とリズムを決定づけるBGMを選定。複数の候補から、テンポ・展開・雰囲気が最適なものを厳選し、映像全体の骨格を構築しました。
- 絵コンテ
- 選定したBGMのリズムに合わせて、場面構成とタイミングを視覚化。ビートごとの展開、イラストの登場順序、視覚効果の配置を設計し、制作の設計図を作成しました。
- 映像制作
- BGMのビートに同期した視覚要素を設計。イラスト配置、シェイプアニメーション、エフェクトを緻密にタイミング調整し、音と映像が一体化した「音ハメ編集」を実現しました。
- 効果音設計
- 視覚的な動きを補強する効果音を選定・配置。BGMとのバランスを保ちながら、映像のリズム感と没入感を高める音響空間を構築しました。
- 確認・微調整
- 完成した映像をクライアントに提示し、フィードバックを反映。細部のタイミング調整や演出の微調整を行い、クライアントの意図を完全に具現化しました。
- 仕上げ・展開
- すべての映像・音響要素を統合し、各SNSプラットフォームの仕様に最適化。視聴者の目を引くサムネイル制作まで一貫して担当しました。



