IoTアカデミー#001「ネットワークのきほん」

  • IoT
  • 2022年07月02日 16時42分

IoTとは「モノのインターネット」を意味する言葉です。
つまり、身の周りのあらゆるモノがインターネットに繋がることを指します。

インターネットといえばパソコンやスマホで検索したり、買い物をしたりするイメージがあるかもしれません。
IoTでは、テレビや冷蔵庫、さらにはペンや靴、歯ブラシなど、さまざまなモノがインターネットにつながりデータ通信を行います。

今回は、IoTの基礎となるネットワークについて解説します。

目次

  1. インターネット上の住所「IPアドレス」
    1. グローバルIPアドレス
    2. プライベートIPアドレス
  2. WANとLAN
    1. WAN(Wide Area Network)
    2. LAN(Local Area Network)
  3. ルーターとは
    1. ルーターはWANとLANの仲介役
    2. ルーターはLANの関所
  4. 誰がIPアドレスを決めるのか?
    1. DHCP
    2. グローバルIPアドレスのDHCP
    3. プライベートIPアドレス
    4. IPアドレスの消滅
  5. 固定IPアドレス
    1. 固定IPアドレスのメリット
    2. 固定IPアドレスのデメリット
    3. 自動IPアドレスと固定IPアドレスの併用
    4. グローバルIPアドレスの固定化
  6. IPアドレスの枯渇問題
  7. まとめ

1.インターネット上の住所「IPアドレス」

パソコンやスマホはもちろんのことテレビ、冷蔵庫、掃除機などのスマート家電もインターネットに接続する機器には必ずIPアドレスが必要となります。
IPアドレスは一般的にインターネット上の住所と言われています。
ちなみにあなたのIPアドレスは

[ip /]

です。なぜ、あなたのIPアドレスがわかるのか?については、この後の解説をご覧いただければ理解できると思います。

さて、IPアドレスは xxx.xxx.xxx.xxx の形式で表現され、xxxには0~255の数字が入ります。
これはIPv4という形式のIPアドレスで、256の4乗=4,127,195,136(約43億)種類のIPアドレスがあります。
なおIPアドレスは重複することができません。全世界で一意でなければなりません。

約43億種類と言う数字は、一見天文学的数字に見えますが世界の人口は約77億人です。
世界の人口約77億人のうち、半分以上の人がインターネットに接続できる端末(パソコンやスマホ)を持っているといわれています。
1人で2台以上スマホを持っている人もいるでしょう。
会社や学校のパソコン、自宅のパソコン、テレビなどの家電などIPアドレスの約43億種類を超える端末が世の中には存在しています。
そう考えると約43億個というのは多い数ではありません。むしろ、足りないのです。

繰り返しになりますが、IPアドレスは重複することができません。
それでも、今のところ重複することなくインターネットに接続できています。
これには、グローバルIPアドレスプライベートIPアドレスが関係してきます。
ちなみに先ほど表示した「あなたのIPアドレス」はグローバルIPアドレスです。

1-1.グローバルIPアドレス

グローバルを直訳すると「世界規模の」と言うことになります。
グローバルIPアドレスは世界規模のIPアドレスであり、世界中で重複することはありません。

グローバルIPアドレスが重複しないように管理している組織があります。
日本では「JPRS」が管理しています。
JPRSが管理するIPアドレスは約43億個のうち約2億個です。
1つ上の組織、アジア太平洋地域を「APNIC」が管理しています。
さらにその上の組織「ICANN」が全世界のIPアドレスを管理しています。

ICANNがAPNICへ使用可能範囲を割り当て、APNICがJPRSへ使用可能範囲を割り当てしています。
これにより、重複しないIPアドレスが管理できています。

【参考】 fetus – https://ipv4.fetus.jp/jp

以上のことからIPアドレスを見れば、どの国から接続されているのか判別することができます。
これによって中国やロシアからの接続を遮断する、と言うようなことが可能になります。

1-2.プライベートIPアドレス

グローバルIPアドレスが全世界なのに対しプライベートIPアドレスは、会社や学校、自宅など特定の範囲内で使うことのできるIPアドレスです。
インターネットに直接接続できない端末では、プライベートIPアドレスを使います。
スマホなど通信機能の持った端末は直接インターネットに接続できますが、パソコンや家電などは「ルーター」を使わないとインターネットに接続することができません。(「ルーター」についてはの後ほど説明します)
スマホもWiFi接続中は、プライベートIPアドレスを使います。

約43億個のIPアドレスのうち、プライベートIPアドレスで使用できる範囲が決まっています。

  • 10.0.0.0〜10.255.255.255(16,777,216個)
  • 172.16.0.0〜172.31.255.255(1,048,576個)
  • 192.168.0.0〜192.168.255.255(65,536個)

の合計17,891,328個です。
これらのIPアドレスでインターネットに接続することはできません。

そしてプライベートIPアドレスは、組織(範囲)が違うと重複することが可能なのです。
株式会社Aのパソコンに192.168.0.1、株式会社Bのパソコンにも192.168.0.1を付番することができます。
ただしプライベートIPアドレスも、同じ組織(範囲)の中では重複することができません。

パソコンや家電は直接インターネットに接続できなくても、インターネットに接続することはできます。

どのような仕組みでインターネットに繋がるのか解説します。

2.WANとLAN

直接インターネットに接続できない端末が、どのようにしてインターネットに繋がるのかを説明する前に、ネットワークについて解説する必要があります。

ネットワークにはWANLANがあります。

2-1.WAN(Wide Area Network)

WANは世界規模で使われるネットーワークであり、グローバルIPアドレスが使われます。
通信機能を持った機器同士のネットーワーク(繋がり)です。

身近なところでは、スマホやルーターがWANに繋がる機器になります。

一般的にインターネットがWANの認識です。
(正確にはインターネットとWANは異なります)

2-2.LAN(Local Area Network)

LANは特定の範囲内で使われるネットーワークであり、プライベートIPアドレスが使われます。
通信機能を持たない機器同士のネットーワークです。

身近なところではパソコンやプリンタ、家電などはLANに繋がる機器になります。
LANの機器はルーターを通してWANに繋がることで、インターネットに繋がります。

LANの機器はLANケーブルを使った有線LAN、WiFiを使った無線LANでお互いに接続します。


複数のLAN繋いだネットワークがWANです。

3.ルーターとは

LANの機器は単体でインターネットに接続することができません。
そこでルーターを使ってインターネットに接続することになります。

3-1.ルーターはWANとLANの仲介役

プライベートIPアドレスが付番されたパソコンや家電は、そのままではインターネットに接続することができません。
そこで、ルーターを経由してインターネットに接続します。

ルーターはIPアドレスを2つ持つことができます。
1つはWANに接続するためのグローバルIPアドレス
もう1つがLANに接続するためのプライベートIPアドレスです。

ルーターとパソコンはプライベートIPアドレスを使って通信をします。
パソコンからインターネットに接続する場合は、プライベートIPアドレスでルーターに繋がり、ルーターがグローバルIPアドレスでインターネットに繋ぐことにより、あたかもパソコンがインターネットに繋がっているように見えています。

3-2.ルーターはLANの関所

プライベートIPアドレスは「組織(範囲)が異なれば重複してもよい」と言う説明をしました。
そうなると世の中には同じプライベートIPアドレスを持った端末が複数存在することになります。
もし、プライベートIPアドレスのままインターネットに接続できたとすると、IPアドレスの重複が発生してしまいます。

そこで、プライベートIPアドレスがインターネットに接続できないようにする機能がルーターに備わっています。
プライベートIPアドレスの範囲は決まっていますので、その範囲内であればインターネットに接続できない、言い換えるとWAN側にプライベートIPアドレスを通過させないと言うことになります。

IPアドレスの範囲によって、LANの中だけで通信するのか、WANと通信するのか(インターネットに接続するのか)、ルートを決める機器がルーターということです。

4.誰がIPアドレスを決めるのか?

ところで、スマホや家電にIPアドレスを入力したことはないと思いますが、IPアドレスを何番にするか誰が決めたのでしょうか?

4-1.DHCP

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)と言う機能があります。
DHCPはネットーワーク通信を行うために必要な基本情報を自動で割り当てます。

このDHCPによってIPアドレスを意識することなく、パソコン、スマホ、家電が通信を行えるようになります。

4-2.グローバルIPアドレスのDHCP

グローバルIPアドレスは、プロバイダのDHCPが割り当てしています。

日本のグローバルIPアドレスを管理しているJPNICがプロバイダに対して、使ってよいグローバルIPアドレスの範囲を渡しています。

スマホであればdocomo、au、softbank、rakutenが、スマホ1台1台にグローバルIPアドレスを割り当てます。
光回線はOCN、so-net、BIGLOBEなどのプロバイダがルーター(ホームゲートウェイ)にグローバルIPアドレスを割り当てています。

4-3.プライベートIPアドレス

一般家庭ではルーター(ホームゲートウェイ)にDHCPの機能が備わっています。

パソコンや家電を(WiFiまたは有線で)LANに接続したときに、ホームゲートウェイからDHCPによってプライベートIPアドレスが割り当てられます。

4-4.IPアドレスの消滅

グローバルIPアドレスプライベートIPアドレスも一定期間通信が途絶えるとIPアドレスの割り当てが取り消されます。
再度通信が発生したときに、新たにIPアドレスが割り当てられます。

これにより約43億台の端末が同時にインターネットに接続しない限り、IPアドレスが足りなくなることを防いでいます。

ここで1つ問題があります。
通信の都度、IPアドレスが変わることで不都合が発生するケースがあるのです。

5.固定IPアドレス

DHCPによって自動でIPアドレスが割り当てられると、不都合が発生する場合があります。

身近な例では、プリンタです。
さっきまで192.168.0.10だったプリンタが省エネモードになり通信が途切れたら、192.168.0.10が別のプリンタやパソコンに付番されてしまいます。意図したプリンタから出力できないのです。

このような不都合が発生しないようにIPアドレスの固定化が可能です。

5-1.固定IPアドレスのメリット

DHCPによるIPアドレスの自動割り当てではなく、手動入力でIPアドレスを割り当てることができます。
この場合、一定期間通信が途絶えてもIPアドレスが変わることはありません。

サーバーやプリンタ、ネットーワークHDD(NAS)などIPアドレスが変わると困る端末には固定IPアドレスを採用することがあります。

5-2.固定IPアドレスのデメリット

固定IPアドレスにした場合、気を付けなければならないのが重複です。
DHCPであれば自動で重複しない番号が付番されますが固定IPアドレスは手動で設定するため、重複するリスクがあります。
それでもプリンタのIPアドレスが変わって印刷できなくなるよりはリスクが低いので固定IPアドレスを採用するケースがあります。

5-3.自動IPアドレスと固定IPアドレスの併用

DHCPによる自動IPアドレスと固定IPアドレスの併用も可能です。
192.168.0.1~192.168.0.100は固定IPアドレス用、192.168.0.101~192.168.0.255はDHCPによる動的IPアドレス用とすることができます。
これならプリンタは固定IPアドレスにできるためIPアドレスが変わることもないですし、パソコンが増えてもDHCPにより自動でIPアドレスが付番されるため重複も起きません。

5-4.グローバルIPアドレスの固定化

グローバルIPアドレスにも固定グローバルIPアドレスがあります。
約43億分の1を自分専用のIPアドレスにすることができます。

グローバルIPアドレスを固定化することでルーターのIPアドレスが変わることがありません。
これにより、外出先から会社や自宅のルーターに接続できるようになります。
外出先から会社や自宅のパソコンのデータを見ることができたりします。

グローバルIPアドレスの固定化は有料になりますが、プロバイダに申し込むことで約43億分の1を使えるようになります。

6.IPアドレスの枯渇問題

先述の通り

  • グローバルIPアドレスは重複してはいけない
  • インターネットに接続するためにはグローバルIPアドレスが必要
  • グローバルIPアドレスが割り当てられるのは通信機器のみ
  • 一定期間通信が途絶えるとグローバルIPアドレスは取り消される

と言うことになります。

これにより約43億個のIPアドレスが重複することなく全世界のインターネットが動作しています。

しかしスマホや光回線の普及が拡大し、約43億個のグローバルIPアドレスが足りなくなりました。

そこで近年では、IPv6と言う形式のIPアドレスを採用する通信機器が増えてきました。
IPv6では、43億の4乗=約340澗と言う見たこともない単位の数を持っています。

IPv6は、使用できるIPアドレスの数が増えただけでなく、通信速度が速くなるメリットもあります。
IPv6については、次回以降解説していきます。

7.まとめ

今回は、IoTの基礎となるネットーワーク、とくにIPアドレスについて解説しました。

  • インターネットに接続するためにはIPアドレスが必須
  • IPアドレスにはグローバルとプライベートがある
  • ネットーワークにはWANとLANがある

をぜひ覚えておいてください。