「デザインはセンス」と言われることがあります。たしかにセンスも必要でしょうが、まずは、基本をしっかり理解することが必要です。基本がしっかりしていれば、仕上がりの品質も格段にアップします。
デザイン基本のキ。第2回目の今回は、「フォント」について解説します。
フォトンとは、統一された文字の書体を意味します。
同じ文章であってもフォントが異なると、その文章から受けるイメージが変わります。
どのような種類のフォントがあるのか、どんな場面でどんなフォントを選択するのが最適かを解説していきます。
フォントで有名なのは「明朝体」と「ゴシック体」でしょう。
Windowsパソコンを使っている方なら「MS 明朝」「MS ゴシック」と言うフォントを一度は目にしたことがあるかと思います。
「明朝体」は、線に強弱があり「トメ」「ハネ」「ハライ」がしっかりしています。
似たようなフォントに「楷書体」があります。
一方「ゴシック体」は、線の太さが均一です。
線の角に丸みを帯びた「丸ゴシック」などもあります。
また、筆で描いたような「行書体」や「草書体」もあります。
以上、ここまでは日本語フォントです。いわゆる全角文字に対応したフォントです。
半角文字専用の欧文フォントもあります。
明朝体に似た線の強弱がある「セリフ体」。
ゴシック体に似た、線の太さが均一な「サンセリフ体」。
手書き文字に近い「スクリプト体」と言うのもあります。
フォントを種類分けする区分がもう1つあります。
それは、「等幅」と「プロポーショナル」です。
「MS 明朝」「MS P明朝」、「MS ゴシック」「MS Pゴシック」と言った方が、わかりやすいでしょうか。
「等幅」は読んで字のごとく、すべての文字が同じ幅でになります。
一方「プロポーショナル」は文字によって幅が異なります。
フォントには何千、何万の種類があります。たくさんあるフォントから何を基準に選べばよいでしょうか。
次の3つをフォントの選定基準とすることで、失敗が少なくなります。
視認性とは「パッと見た瞬間の認識しやすさ」です。
「読む」よりも「見る」を重視したいときに使います。
見出しやタイトルなどの短い文章に使うフォントは、視認性を重視したゴシック体が適しています。
ゴシック体は、線の太さが均一でトメ・ハネ・ハライが簡略化されているため、遠くからでも文字を認識することができます。
可読性は、「読みやすさの度合い」です。
主に長い文章に使うフォントは可読性を重視した明朝体が適しています。
線の太さが均一なゴシック体と比べ、明朝体は線の太さに強弱があり文字数が多い文章でも適度な空白が生まれ読みやすくなります。
判読性とは「誤読させずに正確に伝える度合い」です。
数字の0(ゼロ)とアルファベットのO(オー)、数字の1(イチ)とアルファベットのI(アイ)、アルファベットのl(小文字のエル)、カタカナのピとビ、など誤読を防ぎたい場合には、ゴシック体よりも明朝体の方が優れています。
近年では、誤読性を重視したユニバーサルデザインフォント(UDフォント)が好まれる傾向にあります。
ホームページやチラシ、ポスターは勿論のことプレゼンテーション資料において、その内容によって適切なフォントを選ぶことは、とても重要です。
なぜならば、フォントによってデザインのイメージが大きく変わるからです。
明朝体・セリフ体は「大人っぽい」「真面目」「優雅」「上品」「知的」「女性的」と言った印象を与えます。
それが、逆に堅苦しさを感じるという面もあるかもしれません。
ゴシック体フォントは「子供っぽい」「面白い」「楽しい」「親近感がある」「目立つ」「男性的」と言った印象を与えます。
可読性よりも視認性に優れており、パッと目に入りやすいという特徴があります。
ゴシック体の派生フォントである丸ゴシックは「やさしい」「ソフト」「ワクワクする」といった印象を与えます。
堅苦しい内容や注意事項も丸ゴシック体を使うことでソフトに伝えられる効果があるといえます。
反対に角ゴシックと呼ばれる、細部が角張ったゴシック体もあります。そちらはゴシック体よりもさらに「力強い」「男性的」な印象を与えます。
筆書きの要素を加えた行書体、教科書体、楷書体は、和の雰囲気をより強くし、、伝統的で古めかしい印象を与えます。
この他にもデザインフォントと呼ばれるものも存在します。
ポップ体や手書きフォントと呼ばれるデザイン性の高いフォントがそれで、遊び心や面白さを表現したい時に使われることがあります。
パソコンでフォントを使用する場合には、フォントデータが必要となります。
Windowsパソコンであれば「MS 明朝」「MS ゴシック」、Macパソコンであれば「ヒラギノ明朝」「ヒラギノ角ゴシック」などが標準フォントとしてインストールされています。
Windowsパソコンの「MS ゴシック」で作成したデザインをMacパソコンで開くと「ヒラギノ角ゴシック」で表示されます。
Macパソコンには「MS ゴシック」がない為、Macパソコンのゴシック体標準フォントである「ヒラギノ角ゴシック」に変換されます。
同じゴシック体でも「MS ゴシック」と「ヒラギノ角ゴシック」では若干雰囲気が異なります。
フォントデータは無償のものから有償のものまで様々あります。
無償だからと言ってパソコン標準のフォント以外を使用すると、閲覧者側で正しく表示できない場合があります。
使用したフォントを閲覧者側でも使用できるか、あらかじめ確認する必要があります。
フォントを含めてデザインとして相手に見てもらいたい場合は、作品を画像化またはPDF化してから閲覧者へ渡しましょう。
パソコン標準のフォント以外に、無償のものから有償のものまで、様々なフォントデータが用意されています。
その中からおすすめのフォントをいくつか紹介します。
フォント界の王様「モリサワ」を知らないデザイナーは居ない、と言うほどに有名であり、美しく読みやすい書体です。
モリサワフォントと二大巨頭のモトヤも看板や商品パッケージに数多く採用されています。
本当に無償で良いのか疑いたくなる完成度で、美しい文字を表現してくれます。パソコン標準フォントからのステップアップに最適です。
毛筆書体の大御所「昭和書体」。専属の書道家が1文字1文字筆で書いた書体をデータ化した文字は、まさに芸術作品です。アニメ鬼滅の刃でも使用されています。
今回は、文字の書体「フォント」について解説しました。
目的に適したフォントを採用することで、見た目が美しくなるだけでなく、発信者の意図をより正確に伝えることができるようになります。
チラシや看板、商品パッケージやテレビのテロップまで。どんな場面でどんなフォントが使われていているのか。
フォントを知ると、普段見えるものがより一層楽しむことができます。
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